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インド・ガネーシャ通信 NO.502 コロナワクチンを巡る戸惑い
2021年2月3日
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インドをもっと知りたい方 必読!!!
<2001年8月3日創刊>
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◆インドで生活している人はどんな生活をしているんだろう。
デリー在住 インド人(前)インド・ネルー大学日本研究
センター・プレム・モトワニ教授が「日印文化比較」を様々な
角度からお届けしています。
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「モトワニ先生・オンラインで出版イベント開催」の
お知らせに続き、今日はモトワニ先生の2月の記事です。
日本は昨日、再度緊急事態宣言が3月7日まで発令されました。
そしてワクチンの接種は2月中旬にスタートとの発表がありました。
インドではすでに、1月16日からワクチン接種が始まっています。
今月の題は「コロナワクチンを巡る戸惑い」です。
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◇◆インド人からのインド便り No.87
インド・デリー在住 by-プレム・モトワニ
(元 インド・ネール大学教授)
日印文化比較:コロナワクチンを巡る戸惑い
インドは1月16日から医療従事者などを優先して2種類の
ワクチンの接種を全国の3000箇所で始めた。
7月までに医療従事者や感染リスクの高い人
(50歳以上の人たち)など3億人へのワクチンの接種を
目指しているそうである。
しかし、野党の一部は、有効性を示すデータがない状態や
大規模な臨床試験が行われていないまま承認されたと批判し、
政府が安全だというなら、国民の信頼を得るためにまず
Modi(モディ)首相を始め、与党の関係者が接種すべきで
あると主張した。
しかし、政府側は医療従事者を最優先すべきであると言って
野党の主張を却下している。
接種された人の中で副作用のある人も数十人いて、死者も二人
いたが、医療関係者はその死亡はワクチンとは関係がないと
主張している。
実際に微熱以外にコロナ感染者に見られる症状が24時間続く
ということが判明している。
しかし、その結果医療従事者の間に戸惑いがひろがり、最初の
数日間接種を予定していた医療従事者が現れなくて、実際の
接種人数は約半数にとどまることとなった。
そのため、政府はその日の接種者リストを事前に決めるよりも
自由に接種を受けられるように変え、やっと接種人数は80%
前後になったのである。
このような傾向はインドだけではなく、アメリカでも60%
の国民しか自分の方から進んで接種を受けないと言っている。
同時に、政治家に対する不信感もインドだけのものではない。
ポーランドの女性の作家のMonika Wishniewskaは
「ワクチンはまず政治家に投与されるべきであり、彼らが
生き残ればワクチンは安全である。
彼らが生き残れなければ 国は安全だ」と言ったそうである。
ちなみに、アメリカの直近の大統領経験者3人が、新型ワクチンの
安全性と効果に対する、社会的な信頼度を高めるために、
新型コロナウイルスのワクチンを接種する場面を、テレビで
放送しても良いと12月に申し出た。
Modi(モディ)首相も近々接種を受けると発表されている。
最後に、インドが隣国(ネパール、ブータン、モルジブ、
アフガニスタンなど7カ国)に対し自国産のワクチンを
無償提供することにし、すでに出荷が始まっている。
これは最近アジア諸国で影響力を増してきている中国に対抗
するためであると言われている。
中国もインドの「ワクチン外交」を真似てインドの宿敵の
パキスタンに無償でワクチンを提供することを決めたのである。
一方で、日本は米製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンを
1億2千万回分(6千万人分)供給することで基本合意しているが、
臨床試験(治験)や審査の手続きを経る必要があると言って、
接種開始を3月に予定していて、やはり世界各国に比べ慎重に
進めていく方針である。
≪了≫
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【読者の感想】
いよいよワクチン接種が始まりましたが、国により
その対応に差が出ています。
日本は慎重に、インドは急いでいる様子。
副作用も心配ですが、各国内、そして国家間の格差により、
ワクチンの普及に差がでることが心配されます。
人類全体の問題として、協調していくことが期待されます。
【最後に】
先月号で「ガネーシャ通信」が,20年間で500号をむかえたことを
お伝えしましたら読者から励ましの感想をいただきました。
~読者のメール~
「この20年間で通算500号、よく頑張りましたね。
月平均で2信強、まさに大変な努力の積み重ねの結果です。
特にモトワニ教授の連続投稿記事は実に広範囲、かつ示唆に
富んだ内容で優に1冊の本に値いしますね。
インドの「コロナ禍」は現在感染者1千万人強、死者15万人強で
米国につぎ世界第2位の圧倒的な高水準ですが、
政府の度重なる規制で昨今は感染者・死亡者ともに減少しており
(ピーク時の半分以下),先進諸国とは対照的に効果を発揮しつつ
あります。」
~モトワニ先生からのお返事~
「私の原稿を読者が気に入っていただけることは大変心強いです。
ネタ選びが大変ですが。・・・」
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モトワニ先生の本の出版記念オンライン・イベントが
ZOOMを使って、実施されます。
イベント概要:オンライン出版イベント
日時:2021年2月4日(木)20:30~21:30(日本時間)
・鈴木哲・駐インド日本国特命全権大使による祝辞、
本の紹介
・モトワニ博士による本の解説
書名:「Becoming World Class: Lessons from 'Made in Japan' 」
(世界レベルを目指し:メイド・イン・ジャパンからの教訓)
・その他、ご来賓からのお言葉等
参加(登録)方法:リンク先にアクセスし、ご登録ください。
↓ ↓ ↓
https://forms.gle/XaPDaUfz8uSoJVfc8
オンラインでの開催になります。
≪本の概要≫
日本型経営がインドに登場したのは、スズキ、ホンダや
その取引先が80年代にインドに進出した時である。
しかし、このときは合弁相手間に限られており、広く
取り入れられたのは90年代の経済自由化後である。
それから、あれこれ30年。
しかし、取り入れやすいもの、例えば、共通の作業着・
食堂・トイレ・送迎バス, サークル活動などは導入されたが、
その根底にある思想、例えば、「全員参加」、「人間尊重」、
「自分の設備は自分で守る」、「品質を工程で作り込む」、
「プロセス志向性」などは文化的な障壁のためうまく
取り入れられていない。
Made-in Japanは20年で成功したにも係わらず、
Make in Indiaつまり、インドのものづくりはあまりうまく
行っていない。
インド経済はサービス企業中心で、工業製品の貿易では
どの貿易相手国とも輸入超過である。
農業従事者が就労人口の約45%を占めるが、GDPへの
貢献度は15%にとどまっている。
製造業従事者の割合は12%で、GDPへの貢献度は15%に
すぎない。
これが格差問題を深刻化させてきた。
日本の品質管理は20年前からインドで大変な人気で、累計で
約500社が日本の品質管理賞(TQM・TPM)を受賞して
いるにも係わらず、上述のアプローチのため、認定取得後
日本的なやり方や考え方が定着しないことが多い。
著者は、日本がどのようにしてMade-in Japanという
ブランドを短期間で作り上げ、70年もそれを維持してきた
(日本が近年、新興国にコスト競争に負けているように
見えるが、「ものづくり」の面で日本型経営に勝る方法論はない)
かを解説した上で、80年代から90年代にかけてのアメリカと
ヨーロッパの日本型経営に対する対応を説明し、インドは
どこが違っていて、どういう問題・課題を抱えていて、
Make in Indiaを成功させるために何をすべきかを解説する。
★ 最後まで読んでいただきましてありがとうございます。
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