インド・ガネーシャ通信(3)  有機証明と健康

 「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)が昨年改正され、今年6月10日に施行されました。これに伴い有機農産物の表示規制が明2001年4月から始まります。JAS(Japanese Agricultural Standards)のマークは、これまでも知られていますが、改正JAS法に基づき、「有機農産物」を勝手に名乗ることは許されず、農水省が認めた第三者機関による検査、認証を得たものだけが有機JASマークの表示を付けられるようになります。

 このため、相当数の「有機農産物」「有機食品」が店頭から消えていくでしょうし、「減農薬食物」「低農薬食物」など、わけのわからない食品にも有機JASマークが許可されません。

 同時に、すでに海外の有機認定機関から有機証明を取得していても、新に日本国内の認証を受けなければ、「有機」という言葉が使えないと言う矛盾も出ています。マカイバリ紅茶は世界的に有名な認定機関であるディメーター社の有機証明を取得していますが、有機JASマークを取得する準備を進めています。

 個人的見解ながら、死亡原因の第1位が癌であることとか、青少年犯罪の凶悪化の一因は、非有機食品のファーストフードやインスタント食品の氾濫にあるのではないでしょうか。一昔前の日本では、このような現象は少なかったと思います。ダイオキシンを中心に環境ホルモンが大問題になっていますが、農薬、化学肥料に含まれる有害化学物質も同様に危険きわまると言わざるをえません。

 問題なのは、これら有害化学物質は体内に蓄積していく恐れがあることです。レイチェル・カーソン著の「沈黙の春」が如実に物語っています。将来を担う子どもたち、妊婦、体力の衰えた老人は、可能な限り有機食物をとって健康に留意すべきだと思います。  先に一時帰国して、デパートの紅茶コーナーを見て回ると、純粋のダージリン紅茶であることをインド紅茶委員会が証明するCTMラベルを付けたダージリン紅茶がまったく見当たりませんでした。ブレンドしていない純粋のダージリン紅茶がいかに国内に少ないかということです。

 同時にCTMラベルを付けていない「マカイバリ紅茶類似品」が大量に販売されていたことにも驚きました。味、香りで本物との違いが即座に分かります。類似品であるかないかはCTMラベルのあるなしで歴然です。本物のマカイバリ紅茶は必ずこのCTMラベルを付けています。

 西ベンガル州政府の依頼でダージリン紅茶園を調査に来ていた非政府組織(NGO)の人が「農薬の影響によって、ダージリン紅茶労働者だけで過去10年間に20人の未熟児が生まれた」と語っていました。原因がすべて農薬、化学肥料とは思えませんが、警戒すべき事例です。

 日本は世界で最長寿国だと言われています。それでも最近の国連発表の健康長寿ベースでは、日本のランクはかなり下になります。実際、薬と現代医学に頼って、不健康な生活をしていては幸福であるはずがありません。幸福には健康が絶対条件で、健康には食物が最重要なのです。

(By 石井  吉浩)

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