Yomiuri Weekly11月9日号に掲載されました!

「ちょっと粋づかい」
       マカイバリ茶園の紅茶

撮影 林敏一郎
文 柴田 充

マカイバリ茶園の紅茶

 本場コルカタ(旧カルカッタ=インド)の紅茶オークションで今年、過去最高値をつけたダージリンティーが登場した。なんと1キロ・グラム約400ドル!
世界一高い紅茶である。

 さぞかし贅(ぜい)を尽くした茶葉と思いきや、その製法は、むしろ対極。生産するマカイバリ茶園が採用し
ているのは、化学肥料を使わず、土そのものの生命力で育てる無農薬有機農法なのだ。茶畑の隣に2倍の広さの自然の森があるのも土を生かすためだ。

 紅茶産地として140年以上の歴史を誇るダージリン地方だが、化学肥料の使用や森林の伐採によって生産量は減少の一途。マカイバリ茶園の取り組みが注目されている。

 普段、100グラムで2000円程度の紅茶を飲んでいる身としてはなんとも荷が重いが、試飲してみる。シルバーニードルズといわれる満月の日に摘まれた銀の新芽。やや薄めの色の紅茶を含むと、シッカリとした葉の風味が口の中に広がった。土がはぐくんだ味だ。

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