本経済新聞  (2004年5月22日 土曜日 33面)

緑茶製法、インドで伝授

京田辺の製茶業者ら
海外で認知度高める

Nikkei Shinbun 2004.May 22

京都の緑茶の製法をインドの茶園に伝授する試みが始まっている。京都府京田辺市の製茶業、山下壽一さんや同市の舞妓の茶本舗の社員ら四人が今春、紅茶の一大産地として知られるダージリンを訪れ、現地の園主らに伝統的な「手もみせん茶」の製法を手ほどきした。

 「インドの茶葉で玉露をつくり、世界市場に広めたい」というマカイバリ茶園(ダージリン)の園主が、日本の紅茶輸入代理店を通じて玉露づくりが盛んな京田辺市の山下さんに来園を依頼した。山下さんらは3月中旬に3日間滞在し、園主や従業員ら約15人と緑茶づくりに取り組んだ。  

 紅茶も緑茶も同じ茶の木から摘んだ葉を使うが、現地の栽培法では玉露に向かなかったため、せん茶づくりに切り替えた。有機農法で生産した新芽6キロでつくったせん茶は、「日本に持ち帰っても受け入れられる味に仕上がった」(山下さん)という。  

 中国産の安価な輸入茶が増加し、緑茶の国内生産は頭打ちの傾向だ。一方、玉露など高級緑茶の海外での認知度は低く、輸出は国内生産量の1%にとどまっている。山下さんは「インド生産を機に高級緑茶の良さが広まれば、海外輸出にも道が開ける」と期待している。

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